相続や転居により空き家を所有することになった方の中には、維持管理の負担や将来的な資産活用の観点から、売却を検討するケースが増えています。空き家の売却時に活用できる「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」制度は、2023年12月に改正され、適用期限が2025年12月31日まで延長されました。
この制度を利用することで、空き家売却時の税負担を大きく軽減できる可能性があります。
本記事では、控除の適用条件や申請手続きを詳しく解説し、空き家所有者の方が賢く資産を活用するためのポイントをご紹介します。
また、以下の記事では、西湘エリアの空き家について触れているサイトなので、参考にしてみてください。
空き家売却の3000万円控除とは

空き家の譲渡所得の3000万円特別控除とは、相続した空き家(被相続人の居住用家屋)を売却した際に生じる譲渡所得から最大3000万円まで控除できる特例制度です。
通常、不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所有期間に応じて「短期譲渡所得」または「長期譲渡所得」として所得税・住民税が課税されます。しかし、この特例を使えば最大3000万円までの譲渡所得に対する税金がかからなくなるため、大きな節税効果が期待できます。
本制度は当初2019年12月31日までの予定でしたが、空き家対策の重要性から数回にわたり期限が延長され、現在は2025年12月31日までとなっています。この制度を活用することで、相続した古い実家などを思い切って売却する際の税負担を軽減できるのです。
控除を受けるための5つの主要条件

空き家売却の3000万円控除を受けるためには、いくつかの条件をすべて満たす必要があります。この特例の恩恵を受けるための5つの主要条件を詳しく解説します。
- 条件1:相続により取得した家屋であること
- 条件2:被相続人の居住用家屋であったこと
- 条件3:相続の開始から譲渡までの適用期間
- 条件4:譲渡価格が1億円以下であること
- 条件5:一定の要件を満たすマンションも対象に
相続空き家の3000万円特別控除は、誰でも受けられるわけではありません。上記の条件をすべて満たす必要があるため、売却前に自分の物件が対象になるか確認することが重要です。以下、それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。
条件1:相続により取得した家屋であること
この特例の対象となるのは、相続(遺贈も含む)によって取得した家屋およびその敷地のみです。生前贈与や購入によって取得した不動産は対象外となります。また、相続人が複数いる場合は、共有で相続した場合でも各相続人がそれぞれこの特例を適用できます。
相続時の名義変更(相続登記)を適切に行っていることも重要なポイントです。相続登記をしていない場合でも、売却時までに名義変更を完了させれば特例の適用は可能ですが、相続の事実を証明できる書類が必要になります。
条件2:被相続人の居住用家屋であったこと
特例の対象となるのは、被相続人(亡くなった方)が生前に居住していた家屋に限られます。具体的には以下の条件を満たす必要があります。
- 相続の開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること
- 相続の開始直前において被相続人以外に居住していた人がいないこと
ただし、被相続人が老人ホームなどの施設に入居していた場合でも、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用家屋」として認められます。この場合、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 相続開始時に被相続人が介護施設等に入所していたこと
- 介護施設等に入所する直前まで被相続人が当該家屋に住んでいたこと
- 介護施設等に入所してから相続開始の時まで、当該家屋を貸していなかったこと
なお、2023年12月の税制改正により、被相続人が認知症などにより意思能力を喪失し成年被後見人となっていた場合でも、特例の適用が可能になりました。
条件3:相続の開始から譲渡までの適用期間
空き家の譲渡は、相続開始から一定期間内に行う必要があります。具体的には、相続開始日から3年10か月を経過する日の属する年の12月31日までに売却することが条件です。
この期間を過ぎてしまうと、特例の適用を受けることができなくなるため、計画的な売却が重要です。相続手続きから売却活動、契約締結までの流れを考慮して、余裕を持ったスケジュール管理が必要となります。
条件4:譲渡価格が1億円以下であること
対象となる空き家の譲渡価格(売却価格)は1億円以下であることが条件です。譲渡価格が1億円を超える場合には、この特例は適用されません。
ただし、複数の不動産を同時に売却する場合でも、対象となる居住用財産とそれ以外を分けて考えることができます。例えば、被相続人の居住用家屋とは別に、投資用不動産も相続した場合、それぞれ別々に売却すれば、居住用家屋についてのみ特例を適用できる可能性があります。
条件5:一定の要件を満たすマンションも対象に
当初この特例は、一戸建ての空き家を対象としていましたが、制度改正によってマンションなどの区分所有建物も対象となりました。マンションが特例の対象となるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 区分所有建物(マンションの一室など)であること
- 相続の時から譲渡の時まで、事業の用、貸付の用または居住の用に供されていないこと
- 譲渡の時において、地震に対する安全性に係る一定の基準に適合するものであることにつき証明がされたものであること
特にマンションの場合は、耐震基準を満たしていることの証明が必要です。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物であれば、新耐震基準を満たしているとみなされますが、それより前の建物の場合は、耐震診断を受けて基準適合証明書を取得する必要があります。
空き家売却の3000万円控除を活用するメリット

空き家の売却における「3000万円特別控除」は、相続した不動産を手放す際に非常に大きな効果を持つ制度です。譲渡所得税の負担を軽減できるだけでなく、売却後の資金活用や空き家整理にもつながるため、多くの人にとって利用価値があります。
ここでは、この控除を活用することで得られる3つのメリットを解説します。
制度の利点を理解しておくことで、空き家売却を検討する際の判断材料になります。以下で詳しく解説します。
譲渡所得税を大幅に軽減できる
空き家の売却で最も大きいメリットは、譲渡所得税の負担を大幅に減らせる点です。通常、不動産を売却して利益が出ると譲渡所得税が課税されますが、この特例を使えば最大3000万円まで控除できます。
例えば、売却益が2500万円の場合は全額控除され、税金がゼロになる可能性があります。税負担を軽くすることで売却へのハードルが下がり、相続後の処分を前向きに検討しやすくなるのが大きなメリットです。
節税によって売却後の資金を有効活用できる
控除によって税金が抑えられると、その分売却後に手元に残る資金が多くなります。余分な税負担が減ることで、得られた資金を新しい住まいの購入費用やリフォーム資金、老後の生活資金などに回すことが可能です。
相続した空き家を現金化し、資産を有効に活用することでライフプラン全体に余裕が生まれます。このように、節税効果は単なる税負担の軽減にとどまらず、資金計画の選択肢を広げてくれる大きなメリットになります。
相続した空き家を整理しやすくなる
空き家を相続したものの、維持管理や固定資産税の負担に悩む人は少なくありません。3000万円控除を利用すれば税負担を抑えて売却できるため、相続した空き家を早期に整理しやすくなります。
売却によって資産を現金化できれば、相続人同士で分けやすくなり、遺産分割を円滑に進める効果もあります。空き家を放置すると資産価値が下がる一方なので、この制度を活用することで、負担を軽減しつつ円満な相続整理につなげられるのが大きなメリットです。
控除を受けられないケースと代替策

3000万円の特別控除は魅力的な制度ですが、すべてのケースで利用できるわけではありません。条件を満たさない場合には適用されず、別の対応が必要になります。
制度の対象外となる具体例を理解しておくことで、無駄な手間やトラブルを避けることが可能です。ここでは控除を受けられない代表的なケースと、代わりに検討できる方法を紹介します。
条件を確認し、該当しない場合は代替策を考えることが重要です。以下で詳しく解説します。
居住要件を満たさない場合
この控除を利用するには、被相続人が実際に住んでいた家屋であることが条件です。別荘や賃貸に出していた不動産は対象外となるため注意が必要です。
また、被相続人が介護施設に入居していたケースでは、要件を満たせる場合とそうでない場合があるため、詳細な確認が欠かせません。居住要件を満たさない場合には、この特例は利用できないため、他の制度や売却方法を検討する必要があります。
適用期間を過ぎてしまった場合
3000万円控除には適用期限があり、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却しなければなりません。この期限を過ぎてしまうと控除を受けることはできません。
売却には時間がかかることも多いため、期限を意識して早めに行動することが大切です。
適用期限を逃した場合は通常課税が適用されるため、税負担が大きくなる可能性があります。その場合には別の控除制度を活用するなど、代替策を考えることが必要です。
他の特例(居住用財産の特例など)を検討
3000万円控除が使えない場合でも、他の特例制度を利用できるケースがあります。たとえば、マイホームを売却した際の特例(居住用財産の3000万円控除)や、長期譲渡所得の軽減税率などが代表例です。
自分の状況に合わせて最適な制度を活用することで、税負担を抑えることができます。利用できる控除や特例は複数存在するため、税理士や不動産会社に相談して最適な方法を選択することが重要です。
特別控除申請に必要な書類とは?
空き家の3000万円特別控除を受けるためには、確定申告時に必要な書類を揃えて提出する必要があります。準備すべき主な書類は以下の通りです。
- 『被相続人居住用家屋等確認書』
- 『譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)』
- 『空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例適用確認書』
- 『戸籍謄本』
- 『遺産分割協議書』
これらの書類をすべて揃えて税務署に提出することで、初めて特例の適用を受けることができます。書類の準備には時間がかかることもあるため、売却を決めたらできるだけ早めに手続きを始めることをおすすめします。
特に書類の準備や申請には時間がかかることが多いため、早めの行動が重要です。
控除を受ける際の注意点

空き家売却の3000万円特別控除を受ける際には、いくつかの重要な注意点があります。これらを把握しておくことで、特例適用の失敗を防ぐことができます。
以下、それぞれの注意点について詳しく解説します。
納税額が0円でも確定申告が必要
3000万円特別控除の適用により、結果的に納税額が0円になる場合でも、必ず確定申告を行う必要があります。この特例は確定申告によって初めて適用されるものであり、申告を怠ると特例が受けられず、通常の税率で課税されてしまいます。
特に、普段確定申告をしていない給与所得者などは、確定申告の必要性を見落としがちです。譲渡所得が3000万円以下で税金が発生しない場合でも、所定の書類をすべて揃えて申告する必要があることを忘れないようにしましょう。
また、確定申告の期間を過ぎると原則として特例を受けることができなくなるため、期限には十分注意しましょう。
贈与物件は対象外
この特例が適用されるのは、相続または遺贈によって取得した物件に限られます。被相続人から生前に贈与された物件は、たとえそれが被相続人の居住用だったとしても、対象外となります。
また、相続後に他の相続人から贈与されたケースも対象外です。相続と贈与は税法上明確に区別されるため、物件の取得経緯については正確に把握しておく必要があります。
店舗や倉庫は対象外
この特例の対象となるのは、被相続人が居住用として使用していた家屋に限られます。そのため、店舗や事務所、倉庫など、居住用以外の用途で使用されていた部分については、原則として特例の対象外となります。
また、相続後に居住用から事業用に用途変更した場合も、特例を受けられなくなる可能性があります。相続後は、売却するまで空き家の状態を維持することが重要です。
空き家売却で控除や税金問題が不安なら!不動産会社に依頼しよう

空き家を売却する際に多くの人が悩むのが「税金」や「控除」の複雑さです。特例を正しく理解できずに申告を誤ると、余分な税負担や手続きのやり直しが発生するリスクがあります。
不動産会社に依頼すれば、3000万円控除の適用条件や必要書類の確認、確定申告の準備まで丁寧にサポートしてもらえるので安心です。
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西湘エリアの空き家買取はハウスドゥ 小田原市役所前がおすすめ

西湘エリア(小田原市、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町)で空き家の売却を検討している方には、ハウスドゥ 小田原市役所前がおすすめです。
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まとめ
空き家売却の3000万円特別控除は、相続した空き家を売却する際に大きな税負担軽減が期待できる優れた制度です。この特例を活用するためには、相続により取得した被相続人の居住用家屋であることや、相続開始から一定期間内に売却することなど、いくつかの条件を満たす必要があります。
特例を受けるためには、必要書類をすべて揃えて確定申告を行うことが重要です。
空き家問題は全国的な課題となっていますが、この特例を上手に活用することで、資産の有効活用と税負担の軽減を同時に実現することができます。空き家の売却を検討されている方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。



